【セミナーレポート】
成功事例から学ぶ!
介護認定審査会のデジタル化と運用改善

要介護認定を受ける高齢者が増加するなか、審査に伴う資料準備や関係機関との調整など、自治体職員の業務負担は年々大きくなっています。
こうした課題に対し、審査会運営そのものを見直す動きが広がっています。
本セミナーでは、介護認定審査会のデジタル化をどのように進め、運営改善につなげていくのかを実務の視点からご紹介しました。
前半では「moreNOTE介護認定審査会デジタルパック」の概要や運用イメージをご紹介し、後半では、すでにデジタル化に取り組んでいる千葉県習志野市、鹿児島県日置市の事例を通じて、導入の背景や運用開始までのプロセス、委員への説明方法、導入後の効果などをお伝えしました。
審査会のデジタル化を検討中の自治体にとって、導入時のポイントや現場での工夫、実際の効果を具体的に把握できる内容となりました。
開催概要
【タイトル】成功事例から学ぶ moreNOTE 介護認定審査会 デジタル化事例紹介セミナー
【日 時】 2026年5月27日(水)14:00~15:00
【対 象】 自治体ご担当者様
【プログラム】
1.はじめよう!デジタル介護認定審査会「moreNOTE介護認定審査会デジタルパック」ご紹介
セミナー前半では、「moreNOTE 介護認定審査会デジタルパック」の概要と介護認定審査会・障害支援区分認定審査会における活用イメージを
ご紹介しました。
moreNOTEは会議用途を中心に多くの団体にご採用いただいており、介護認定審査会や障害支援区分認定審査会でも導入が進んでいます。
タブレットやPCで資料を安全に閲覧・活用できるペーパーレスシステムで、議会や庁内会議に加え、近年は審査会用途での活用が拡大しています。
また、審査会特有の運用に対応する機能を備え、資料準備から事前判定・審査会運営・結果管理までを一連で支援できる点が特長です。
▮ 紙運用の課題とデジタル化のアプローチ
介護認定審査会・障害支援区分認定審査会に共通する紙運用の課題として、以下の点を挙げました。
• 大量資料のコピー・袋詰め・郵送作業
• 審査会後の資料回収・廃棄
• 事前判定の集計負担
• 急ぎ案件への対応の難しさ
• 個人情報を含む資料管理の負担
これらに対しmoreNOTEでは、資料準備から事前判定、審査会運営、結果管理、資料削除までを一つの仕組みで完結させ、事務局・審査員双方の負担軽減を図れる点をご説明しました。
デジタル化後は、資料登録から事前判定、デジタル審査会、資料の自動削除までをクラウド上で運用でき、業務全体の効率化につながります。

主な機能
• 事前判定集計機能: 審査員が事前判定を入力し、結果を自動集計。不一致案件を把握しやすくすることで、当日の議論を効率化。
• ファイル自動分割機能: 大量の審査会資料を申請者ごとに自動分割し、事務局の登録負担を軽減。
• 二画面閲覧モード: 同一申請者の資料を左右に並べて表示し、紙のような見比べを実現。
• オンライン審査会機能: Web会議URLを設定し、資料閲覧と会議参加をスムーズに連携。
• 二次判定結果入力機能: 審査会中・終了後の結果入力とCSV出力に対応し、結果管理を支援。
• マスキング機能: 資料アップロード後に判明したマスキング漏れにも対応し、再作成の手間を軽減。
▮ 介護情報基盤との関係
介護情報基盤は情報共有のための基盤であり、moreNOTEは審査会の資料確認・進行・判定結果管理といった運営プロセスを支援するツールです。
役割が異なるため、今後は共存・連携の可能性も視野に検討を進めています。

2.事例紹介① 千葉県 習志野市 介護保険課 井上雄太氏
▮ 紙資料12万枚の運用から脱却し、認定日数・審査時間の短縮へ
続いて、千葉県習志野市の事例をQ&A形式でご紹介しました。
習志野市は人口約17万人、委員50名・10合議体体制で、年間150回の審査会を開催しています。
導入前は、紙資料を印刷・マスキング・製本・封入・発送から、審査会後の廃棄までを行う運用で、年間約12万枚の紙資料を使用していました。
資料準備に多くの時間を要し、時間外勤務が常態化していたこと、また資料発送の都合上、審査対象者の確定時期が前倒しになり、直前に揃った案件を次回審査に回せないことも課題でした。
こうした課題を背景に、習志野市では国の補助金も活用しながらデジタル化を検討し、各社製品を比較した結果、管理者画面の分かりやすさや資料の自動分割機能などを評価して、moreNOTEを導入しました。
▮ 導入の経緯
習志野市では令和5年4月頃からDXの検討を開始し、近隣自治体調査や課題整理、見積取得、予算要求などを段階的に進めてきました。
詳細なスケジュールは下記の通りです。
これらの取り組みを経て、令和6年12月から正式運用を開始しました。当初は紙との併用期間を設け、その後アンケート結果も踏まえながら、運用開始から約4か月で完全ペーパーレス化へ移行しました。

▮ 導入後の反応と効果
委員からは「慣れると便利」「事前判定がしやすい」「受け取りや返送の手間が減った」といった前向きな声があった一方で、「画面が小さく見づらい」「操作に慣れない」といった不安や戸惑いの声も寄せられました。特に導入初期は、これまでの紙中心の運用との違いに対する心理的なハードルもあり、すべての委員が同じペースで適応できるわけではなく、委員ごとに理解や利用状況に差が見られました。
こうした状況を受け、運用開始当初は一律の切り替えを急ぐのではなく、希望者には紙との併用を認めるなど、委員ごとの状況に応じた柔軟な対応を行いました。しかし、併用が長期化すると運用負担が増大する懸念もあったため、あらかじめ完全ペーパーレス化の移行時期を明確に共有したうえで進めるなど、段階的な移行を意識した運用としました。
さらに、継続的な運用を見据え、委員改選時には「ペーパーレス運用に対応可能であること」を前提とした候補者選定を行っています。また、委員ごとの通信環境や端末差異によるトラブルを未然に防ぐため、市側で通信契約済みの端末を一括で用意し、利用環境の統一を図っています。
こうした試行錯誤と環境整備を重ねた結果、次第に委員の理解が進み、正式運用開始から約4か月で完全ペーパーレス化への移行を実現しました。
現在では、審査会を安定的に運用できる体制が整っています。
具体的な効果は以下の通りであり、数値面においても運用改善の成果が確認されています。
• 紙資料を年間約12万枚削減
• 紙代・郵送料を年間約106万円削減
• 資料準備時間の削減による認定審査期間の短縮(平均39.5日 → 33.5日)
• 事前判定機能の活用による審査時間の短縮(平均67分 → 32分)
• 委託業務の見直しによる体制最適化
特に、資料準備の締め切りを後ろ倒しできるようになり、より新しい案件を翌週審査に載せられるようになった点は、現場運用の改善につながっています。
▮ 導入時に見えてきた課題と工夫
習志野市では、導入検討やテスト運用を進める中で、想定していた運用を見直す場面もありました。
例えば、当初はスキャン後のデータをPC上でマスキング処理する運用を想定していましたが、ファイルサイズが大きくなりすぎるという課題があったため、最終的には従来通り、紙上でマスキング処理を行ったうえでスキャンする方式へ変更しました。
また、導入にあたっては「行政側の効率化」という視点だけでなく、委員側のメリットを丁寧に伝えていくことが重要でした。郵送より早く資料が届くことや返送作業が不要になること、持ち運びのしやすさといった、委員自身が利便性を実感できる点を具体的に伝え、実際に使いながら理解を深めてもらうことを意識して進めました。
これから導入を検討される自治体に向けては、トライアルの段階から本番と同様の件数・作業フローでシミュレーションを行い、実際の運用イメージを持ってもらうことが重要です。これにより、導入後のギャップを抑え、よりスムーズな定着につながります。
3.事例紹介② 鹿児島県 日置市 介護保険課 川口竜也氏
▮ 半日かかっていた準備作業を見直し、オンライン審査会運用へ
後半では、鹿児島県日置市の事例を座談会形式でご紹介しました。日置市は委員40名・8合議体体制で、月8回の審査会を開催され、
1回あたり25~30件、審査時間は平均30~40分で運営しています。
▮ 導入前の課題
1. 紙の消費量が多い(1回の審査会で約600枚、年間約6万枚の用紙を使用)
2. 印刷・封入・回収・廃棄の事務負担が大きい(一連作業に半日ほど)
3. 急ぎ案件への対応が難しい(郵送後に追加資料が発生した場合は当日配布に)
4. 資料紛失による個人情報漏えいリスクがある
中でも特に負担が大きかったのは、資料準備から廃棄に至る一連の事務作業でした。
▮ 導入の経緯
日置市では、令和6年2月にペーパーレスシステムの視察・検討を開始し、3月にデジタル田園都市国家構想交付金を申請。並行して委員研修会で導入検討中であることを説明し、通信環境や受け止めに関するアンケートも実施しました。その後、6月には1つの合議体で紙資料とWeb会議ソフトを用いたオンライン審査会を試験的に実施。予算化、プロポーザル、端末調達、システム導入、端末配布、研修会、紙併用のテスト運用を経て、令和7年4月から本格稼働に移行しました。

▮ 委員説明と受け入れ
導入にあたっては、年2回の委員研修会を活用し、費用比較や操作方法の説明、被保険者のサービス向上といった観点から丁寧に周知を図りました。
導入当初は「紙の方が見やすい」「操作が不安」といった声もありました。そのため、不安を抱える委員に対しては個別の説明とフォローを継続し、委員の理解を得ながら徐々に利用が拡大しました。
また、端末は市で購入して貸与し、故障対応は原則市側で行う一方、私的利用や過度な使用による破損は本人負担とする運用としました。通信回線については、事前アンケートを踏まえ、各委員の自宅・職場のWi-Fi活用を前提とすることで導入への不安軽減を図りました。
これらの対応を重ねた結果、最終的には審査会全体での運用が定着しています。
▮ デジタル化後の運用
現在は、タブレット端末上でWeb会議ソフトとmoreNOTEを併用し、オンライン審査会を実施しています。会議URLやID・パスワードは資料配信時に連絡し、審査会終了後はクラウド上から資料を削除する運用としています。
また、資料準備・削除作業を一元化したことで、作業効率が向上しました。急ぎの案件についても即時アップロードが可能となり、資料が準備でき次第、審査会前に事前確認を行えるようになっています。
委員からは、拡大表示や検索、付箋、メモ機能に対して好意的な声が多く、「紙より効率的」「事前準備がしやすくなった」といった評価が寄せられました。また、導入前に懸念していたセキュリティ面についても、アカウント制御やクラウド上での資料削除などにより、運用を通じて不安が解消されていきました。
▮ 導入効果の算出
導入効果として、年間約6万枚の紙削減、郵送料を含め約16万円以上のコスト削減、年間約352時間の作業時間削減につながっています。
これまで審査会資料作成のために必要だったA3用紙の調達も不要となり、郵送料や返送用レターパック購入に係る費用削減効果も実感しています。
また、従来は資料準備から封入・発送までに半日ほどを要していましたが、約450枚に及ぶA3資料の印刷作業や、個人情報・マスキング漏れ確認のための目視確認作業といった業務負担も解消されました。加えて、急ぎ案件の事前配信が可能となり、クラウド管理による資料紛失リスクの低減など、運用面でも効果が出ています。
導入効果は以下の通りであり、運用実績に基づき算出しています。

▮ 今後の課題
今後の課題としては、委員改選時の継続的な操作説明や将来的な端末更新への対応が想定されます。特に、複数台の端末を一斉に更新する際の負担については、今後慎重に検討していく必要があります。
また、導入を検討する自治体に向けては、審査委員の理解と協力が不可欠であり、操作説明・費用対効果・利用者サービス向上といった観点を段階的に説明していくことが重要です。
まとめ
▮ デジタル化は“紙をなくす”だけでなく、審査会運営全体の見直しにつながる
今回のセミナーでは、介護認定審査会のデジタル化が単なるペーパーレス化にとどまらず、資料準備、事前判定、審査会運営、結果管理、資料削除まで含めた業務全体の見直しにつながることを、具体的な自治体事例を通じてご紹介しました。
習志野市、日置市のいずれの事例においても、紙削減やコスト削減に加えて、資料準備負担の軽減、審査時間の短縮、急ぎ案件への対応力向上、セキュリティ強化など、運用面での改善が確認されています。
一方で、導入にあたっては、委員ごとに受け止め方や操作習熟度に差があり、運用定着に向けた対応が必要となる場面も見られました。
こうした課題に対しては、丁寧な説明や段階的な移行、トライアルによる事前検証、端末や通信環境を含めた運用設計により対応が進められています。
結果としていずれの自治体においても工夫を重ねることで、運用の定着が図られている点が共通しています。
特に、十分な期間を確保したトライアルを行うことで、運用定着に向けた課題を事前に把握でき、本格導入時の立ち上がりをスムーズに進めることができます。トライアルを進めるうえでは、関係者への説明の準備や運用フローの整理といった事前準備も重要です。
富士ソフトでは、こうした準備段階からのご支援も可能ですので、安心して導入をご検討いただけます。介護認定審査会の運営負担や委員対応に課題を感じている自治体にとって、本事例はデジタル化を具体的に検討するきっかけとなる内容です。
詳細な運用方法や導入手順については、お気軽にお問い合わせください。
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