【庄内町】
交付金で介護認定審査会をペーパーレス化!
委員への資料提供が2日短縮し、議事録作成の負担も大幅削減
庄内町では、介護認定審査会で配布する資料の印刷や郵送が事務局の負担となっていた。また、委員が会場へ参集する際、特に冬場の庄内平野では悪天候による移動リスクもあり、大きな課題となっていた。オンライン化も見据えた課題解決の第一歩としてペーパーレス化を進めた庄内町に話を伺った。
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ペーパーレス化によって認定者や家族、ケアマネジャーにもメリットが生まれる
moreNOTE介護認定審査会デジタルパック導入前の課題を教えてください。
介護認定審査会の実施には、資料の印刷やホチキス止め、使用後の廃棄など多くの手間がかかっていました。また、当時は資料を郵送していたので委員の手元に届くまで時間を要し、一部の委員からは「もう少し早く届けばいいのに」「ペーパーレス化はまだか」という声が上がっていました。
さらに、本町がある庄内平野では、冬になると道路に雪だまりができたりホワイトアウトになったりするため、審査会場に来るのも命がけという危険な道路状況です。今後の業務継続を考えると、いずれはオンラインでの実施を考えていますが、いきなりオンラインで実施するのはハードルが高いため、まずはペーパーレス化に着手しました。
導入にあたりスケジュールをお聞かせください。
委員のペーパーレス化への意識やインターネット接続環境を確認するため、2024年5月にアンケート調査を実施しました。その結果、ペーパーレス化に全委員が賛成していることがわかったのです。8月には富士ソフトから実機を借りて事務局や委員で操作を体験し、秋には新しい地方経済・生活環境創生交付金の申請準備を開始しました。
申請の事前相談では、ステークホルダーについて指摘を受けました。計画を作成した当初は、審査会と事務局の利便性向上のためという思いが強く、ステークホルダーが限定的だったのです。しかし、システム導入により印刷時間が不要になれば、主治医意見書や認定調査結果の到達締め切りを延ばせます。それにより直近の審査会で1件でも多く審査ができ、認定結果を早く届けられます。ご家族や介護プランを立てるケアマネジャーにもメリットがあることに気づき、対象となる関係者の範囲を広げました。
システム活用によるKPIは、どのように設定しましたか?
無理せずに実現が可能なものを設定しました。最初は、事務局から見た利便性に意識が向いてしまい、資料の郵送件数などを設定しました。しかし、交付金申請の事前相談で指摘を受け、システム活用による審査件数と申請から認定に要する平均日数など、認定者側の効果に修正しました。
絶対に譲れない条件は「追加作業が発生しないこと」、条件を重視した結果moreNOTEを選択
moreNOTEを選んだ理由を教えてください。
製品を選定するにあたって、ひとつ譲れない条件として「作業の増加は断固拒否」という基本理念があったため、追加作業が発生しないことを最も重視しました。PDFの自動分割や資料の差し替え、各種設定のやりやすさなどの観点から他社製品とも比較しましたが、新たな作業が発生しないのはmoreNOTEだけでした。そのため調達の際は、moreNOTEとタブレット端末を指定した競争入札としました。
委員にはどのように操作説明をしましたか?
2025年7月上旬から8月上旬にかけて、端末とマニュアルを配布し、30分程度の簡単な操作説明会を開催しました。同時に、本格運用までの1ヶ月間、お試し期間としてテスト入力ができるように環境を整えました。その際、端末の操作に慣れてもらうため、ZoomやSafariなどのアプリは自由に使えるようにしています。
実は操作説明会では、操作説明に重点を置き、「希望者には紙資料を送付する」と伝え忘れていました。結果的にmoreNOTEと紙資料の併用期間はテスト運用期間のみとなり、8月上旬の本格運用開始時以降は紙資料を印刷していません。

委員の通信環境についてもお聞かせください。
事前アンケートでほとんどの委員の自宅や作業場所にWi-Fi環境があると確認ができたため、タブレット端末はWi-Fiモデルを調達し、通信回線は委員が所有しているものを使用することにしました。審査会の会場は2カ所ありますが、いずれも町が設置したフリーWi-Fiが利用できます。また、最近、役場庁舎や図書館を改築し、フリーWi-Fiが利用できる快適な作業場所もできたため、委員にはそちらも案内しています。
判定結果を保存することで、議事録作成の負担を大幅に軽減
導入の効果はいかがですか?
効果は3つあります。
1つ目は、紙資料を用意する業務がなくなりました。本格運用以降は紙資料を使用しておらず、印刷や郵送が不要になったことで、準備作業の効率化とコスト削減ができました。
2つ目は、議事録として利用していた一覧表が不要になりました。導入前は、事務局が案件ごとに一次判定結果や新規、区分変更、更新などの申請区分を入力した用紙に、委員一人一人の判定内容を記入していました。今はmoreNOTEに申請区分や委員それぞれの判定結果が表示されるので、作成せずに済んでいます。判定結果はcsvで出力できるため、議事録代わりにデータを保存しています。
3つ目は、委員への資料提供が2日早くなりました。今までは水曜日に委員の手元に届いていたのですが、今は月曜日の午後にはmoreNOTE上で閲覧できるようになりました。
導入を検討している他の自治体にアドバイスをお願いします。
まずは、委員の同意を得ることが重要だと感じました。庄内町の場合は、事前アンケートで全委員がペーパーレス化に賛成しているとわかり、進めるうえでの自信になりました。とはいえ、委員も機器の操作には不慣れなので、新しいことを覚える負担や操作への不安があったかと思います。しかし、事前説明の際に富士ソフトから実機を借りて、操作を体験できたことで、委員の安心にもつながりました。
また、システム導入による作業や手順の増加は断固拒否する精神で導入を決めたことも、事務局である同僚の職員の導入に対する不安や不満をやわらげる効果があったと考えています。ただし、導入初期の各種設定やマニュアル作成の負担だけはどうしても避けられません。そこは導入担当が腹をくくって実施しました。
本町の本格運用は始まったばかりですが、委員の皆さんが問題なく使えているので、事務局としては「もう大丈夫」と安心しています。楽に、そして便利になるデジタル化の恩恵が、多くの自治体に届くことを祈っています。
【庄内町とは】
庄内町は、山形県の北西部にあり、米どころ庄内平野の南東部から中央にかけて位置しています。
霊峰月山の頂を有し、月山を源とする清流立谷沢川は「平成の名水百選」に選ばれました。
日本三大悪風の一つともいわれる「清川だし」を利用した風力発電も行われ「新エネ百選」にも選ばれています。
豊かな自然が育むお米・お酒・庄内豚がふるさと納税でもご好評をいただいております。
羽田空港から庄内空港まで1時間のフライト、主要地までは車で20分。都市圏から1時間半でお越しいただけます。
保健福祉課 介護保険係
(左から)
主任 岡本 由美 氏
係長 髙橋 亜里 氏
主任 池田 里香 氏
主任 澁谷 毅士 氏
| 自治体名: | 庄内町 |
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| 所在地: | 〒999-7781 山形県東田川郡庄内町余目字町132-1 |
| 導入時期: | 2025年6月 |
| URL: | https://www.town.shonai.lg.jp/ |
| ※当事例は2025年12月時点の情報です。 | |